近畿中国四国旅行 2008

[0 日め・導入~出発]

柵原ふれあい鉱山公園にて


 2008 年 9 月 6 日 (土) ~ 9 日 (火)、3 泊 4 日をかけて、近畿~中国~四国地方を鉄道で巡る旅をしてきた。この旅はもともと昨年 9 月に予定していたものだが、当時北海道に住んでいた父が急に東京に移住することになり、その準備のため中止していた。それから 1 年経ってようやく実現したわけである。このコーナーでは出発前から帰着までの旅の様子を紹介する。鉄道ファンとして書いたものであり、観光目的ではないので、そうした情報の含まれていないことを予めご了承いただきたい。


 この旅の主な目的は、いよいよ残り少なくなってきた旧型気動車*を訪ねて回ることだ。昨年の段階では、大阪~鳥取を結ぶキハ 181 系の特急「はまかぜ」と、水島臨海鉄道の旧国鉄キハ 20、そして JR 四国にわずかに残るキハ 58 系 (土讃線と予讃線) に乗る計画になっていた。その後、父の移住に伴う引越しが始まって計画は見送りになり、今年 3 月に JR 四国のキハ 58 系やキハ 65 が一部引退して、残りも今秋には完全になくなることが発表された。今行かなければもう乗れないとは思いつつも、そう簡単に行けるところではないので、半ば諦めていた。

 しかし引越しが終わってしばらく経ち、新しい家での生活も落ち着いたことから、7 月ごろから改めて計画を練り直して準備を進めた。昨年からの変更点は、この 1 年の間に行われたダイヤ改正への対応と、目的地の追加である。具体的には、昨年の計画に入っていた予讃線の乗車を省いて、その代わりに紀州鉄道のキハ 603 と、柵原ふれあい鉱山公園の保存車輌の展示運転を加えた。出発は、真夏の暑さが少しでも和らげばと思い、お盆以降にした。

 旅程を決めるにあたっては、まず第一に、柵原ふれあい鉱山公園の展示運転に合わせる必要があった。展示運転は毎月第 1 日曜日だけで、11 月からはリフレッシュ工事のためしばらく休止されるので、お盆すぎとなると 9 月 7 日か 10 月 5 日しかない。一方、この時 JR 四国のキハ 58 系の完全引退は「今年の秋ごろから」という表現で公表されていたので、10 月に行っても走っているかどうか分からない。以上の二つの理由から、出発は 9 月第 1 週とした。ほかにも、紀州鉄道のキハ 603 は週末しか稼動しないとか、水島臨海鉄道のキハ 20 は平日朝夕しか走らないなどの条件もあったが、予讃線を省いたことでかなり自由になったので、そう苦労せずに旅程を決めることができた。また仕事の夏休みもこの計画に合わせて、9 月 6 日~ 9 月 15 日に取得することにした。

 乗車券類については、JR 何社にも渡る複雑な経路なので、適用できる企画切符がない。往復乗車券にもできないので、2 組の連続乗車券を作った。また、柵原ふれあい鉱山公園には適当な駅からバスで行きたかったのだが、あまりにも本数が少ないため、計画当初はタクシーを利用することにしていた。しかし Google マップの距離測定ツールで最寄り駅からの距離を調べたところ、約 20km あることが分かった。これでは往復のタクシー代で 10,000 円近くかかってしまうので、津山駅の駅レンタカーを利用することにした。駅レンタカーを使うということは、レール & レンタカーきっぷが使える、すなわち乗車券が 2 割引、その他の特急券などが 1 割引になるということだが、すでに連続乗車券を作ったあとであり、たかだか 4,000 円程度安くするために複雑な切符を作り直してもらうのは気が引けたので、そのままにしておいた (のちにそのままで良かったと思えることが起きた)。

 旅の途中、四国に渡ってから、車中で一緒になった人が持っていたパンフレットを見て、JR 四国のキハ 58 系とキハ 65 が、2008 年 10 月 15 日限りで定期運用から引退することを知った。阿波池田のみどりの窓口でそのパンフレットを手に入れたので、改めて見てみたら、定期運用を終えたあとに、臨時の急行や快速として何度かリバイバル運転されると書いてあった。ということは 10 月第 1 週に行っても乗れたことになるが、恐らく別れを惜しむ鉄道ファンで大変な混雑になるだろう。JR 四国からこのことが公表されたのは 8 月 25 日だったようだが、まったく気づかなかった。偶然ではあるが、今回の旅程は最後のチャンスだったということができる。

*ここでいう旧型気動車とは、おおむね高度成長期までに製造された車輌としている。


 具体的な旅程は下記の通り。乗車車輌は実際に乗ったものを記録してある。乗車券は倉敷を境にした 2 組の連続乗車券のほか、阿波池田~高知の往復と各私鉄は現地で別に購入した。

日付 発着駅 時刻 種別 列車名 列車番号 列車行先 乗車車輌 備考
9 月 6 日 (土) 拝島 07:52 特快   728H 東京 クハ E233 57  
東京 08:45    〃  
東京 09:10 新幹線 のぞみ 15 号 15A 博多 785-3509  
新大阪 11:43  〃  〃  
新大阪 12:03 特急 くろしお 15 号 2065M 白浜 モハ 381 63  
御坊 13:45  〃  〃  
御坊 14:00 普通   27 西御坊 キハ 603 乗車券別購入
西御坊 14:08    〃  〃
西御坊 14:12 普通   28 御坊  〃  〃
御坊 14:20    〃  〃
御坊 14:26 普通   29 西御坊  〃  〃
西御坊 14:34    〃  〃
西御坊 14:45 普通   30 御坊  〃  〃
御坊 14:53    〃  〃
御坊 15:11 特急 オーシャンアロー 22 号 72M 新大阪 クハ 283 501  
天王寺 16:31  〃  〃  
天王寺 16:34 快速 大和路快速 3429K 大阪 クハ 221 16  
大阪 16:51  〃  〃  
大阪 18:05 特急 はまかぜ 5 号 5D 鳥取 キロ 180 12  
鳥取 22:32  〃  〃  
9 月 7 日 (日) 鳥取 07:31 普通   631D 智頭 HOT3501  
智頭 08:18    〃  
智頭 08:21 普通   675D 津山 キハ 120 355  
津山 09:29    〃  
津山駅 09:40ごろ レンタカー          
旧吉ヶ原駅 10:20ごろ          
旧吉ヶ原駅 14:40ごろ レンタカー          
津山駅 15:20ごろ          
津山 15:46 急行 つやま 901D 岡山 キハ 48 6  
津山 16:49  〃  〃  
岡山 16:58 快速 サンライナー 2749M 福山 クハ 117 19  
倉敷 17:12  〃  〃  
倉敷市 17:41 普通   55 水島 MRT303 乗車券別購入
水島 18:05    〃  〃
9 月 8 日 (月) 水島 06:06 普通   1 三菱自工前 MRT302  〃
三菱自工前 06:08    〃  〃
三菱自工前 06:46 普通   8 倉敷市 キハ 205  〃
倉敷市 07:12    〃  〃
倉敷市 07:18 普通   7 三菱自工前  〃  〃
三菱自工前 07:44    〃  〃
三菱自工前 07:49 普通   14 倉敷市  〃  〃
倉敷市 08:15    〃  〃
倉敷 08:29 普通   1734M 岡山 クモハ 115 1514  
岡山 08:47    〃  
岡山 09:07 普通   2529M 琴平 モハ 114 1126  
琴平 10:38    〃  
琴平 11:51 普通   247D 阿波池田 キハ 54 3  
阿波池田 12:46    〃  
阿波池田 13:44 普通   4253D 高知  〃 乗車券別購入
高知 16:07    〃  〃
高知 17:46 普通   266D 阿波池田 キハ 58 198  〃
阿波池田 20:57   キハ 58 178  〃
9 月 9 日 (火) 阿波池田 05:33 普通   733D 伊野 キハ 58 198  
伊野 08:19    〃  
伊野 08:49 普通   734D 高知 キハ 58 178  
高知 09:10    〃  
高知 09:12 特急 南風 8 号 38D 岡山 2461  
岡山 11:40  〃  〃  
岡山 11:49 新幹線 のぞみ 18 号 8A 東京 727-548  
東京 15:13  〃  〃  
東京 15:23 特快   1527T 高尾 クハ E233 50  
立川 16:05    〃  
立川 16:07 快速   1573T 青梅 モハ E232 244  
拝島 16:20    〃  

乗車券 出発前に、少し今回の旅に関連する思い出を拾ってみる。今まで何度も汽車旅に出ている私だが、連続乗車券を購入したのは、実は今回が生涯で 2 度めである。最も頻繁に汽車旅をしていたのは 19 ~ 23 才ごろだが、当時の私は今にも増してものすごく気紛れで、ある日ふと思い立って汽車に乗る、というような旅立ちがほとんどだったので、あらかじめ経路を組んでおかなければならない連続乗車券を使う機会はなかった。それに、当時はまだ周遊券が発売されていた時代でもあるし、すでに青春 18 きっぷもあったので、金はなくとも時間のあるこの時期に、何の割引もない連続乗車券を使う機会は皆無だったのである。右の切符は、過去に私が買ったことのある唯一の連続乗車券だ。1980 年夏に北海道一周旅行をした時のもので、地元の七飯駅に頼んで数日かけて作ってもらった。私が連続乗車券を指定したわけではなく、このように作って学割を適用するのが恐らく最も安くなるので、駅員がそうしてくれたのだと思う。だから、私は連続乗車券に「片道 2 区間まで」という制約があることを最近まで知らなかった。右の切符はたまたま 2 区間に収まっていたので、まったく意識していなかったわけである。

 四国に渡るのも今回が生涯で 2 度めである。ただ、前述したように私は恐ろしく気紛れだったので、前回の四国旅行の目的も内容もほとんど覚えておらず記録も残っていない。確か友人と渋谷で酒を飲んでいる時に、突然「旅に出る」と言い残してそのまま寝台列車に乗り、目覚めたら高松に着いていた記憶がある。そのほか、立ち寄った駅で買った何枚かの切符が物証として残っている。これらを見ると、どうやら高松から多度津~琴平~阿波池田を通って、土讃線のどこかの駅で降りたようだ。多度津か琴平ではキハ 20 に乗ったのも覚えている。降りた駅の前で通りかかった人に「ここは何県ですか?」と聞いて「徳島県だよ」と教えてもらったので、その駅とは大歩危に違いない。なぜなら大歩危駅の入場券が残っているし、大歩危の先は高知県だからだ。吉野川の渓谷がとても美しかったことも、おぼろげながら覚えている。その後、大歩危から引き返した私は、徳島線を経由して牟岐線に乗った。何かの本で、日和佐の海岸ではウミガメが涙を流しながら産卵するというようなことが書いてあったからだ。それに、牟岐線には私の初恋の人と同じ名前の駅もある。しかし私は結局ウミガメどころか日和佐までも行かずに、途中の阿波中島でまた引き返す。下の「阿波中島→和歌山港」の切符の通り、南小松島から南海フェリーに乗って和歌山に渡り、和歌山線~桜井線で知人の住んでいた天理に向かったのである。1989 年の私は今の私でさえ理解不能の気紛れキングだったようだ。

入場券 入場券 入場券
↑当時はまだ硬券があったので、旅にも張り合いがあった。

乗車券
↑日付印が 12 月になっているが、これは駅員の押印ミス。


 さて、時間を現在に戻そう。出発まで心配していたのは天気だった。東京をはじめ関西や中四国では 8 月末から雨が多く、ゲリラ豪雨も頻繁に発生して各所で災害も発生していた。旅行中、外に出て活動するのは、主に紀州鉄道と柵原ふれあい鉱山公園で、紀州鉄道のある御坊市の当日の天気予報は曇りのち雨、柵原ふれあい鉱山公園に近い津山市も曇り時々雨だった (直前になって曇り時々晴れに変わった)。いずれにしても、1 ~ 2 日は雨に降られることを覚悟しなければならないようだった。

 車輌運用についても、事前にできるだけ調べてはいたが、本当にその通りになるのか分からなかった。紀州鉄道のキハ 603 は金曜日~日曜日に走るというが、故障するなどして運用が変更されて、キテツ 1 に乗る羽目になるのではないか (今となれば 2 軸の気動車というのも貴重だが)。特急「はまかぜ」の走行音はグリーン車の洗面所で録音しようと思っているが、テロ対策などで窓が締め切られているのではないか。防音・密閉された特急用車輌では、開口部が確保できなければエンジンの音が入らない。柵原ふれあい鉱山公園ではキハ 702 やキハ 303 に乗りたいと思っているが、どちらも車齢 70 年以上の大変古い車輌であり、果たして本当に客を乗せて走っているのか。水島臨海鉄道のキハ 20 は平日朝夕のみの運転というが、本当にそうなのか。そして、四国からキハ 58 系が引退する「今秋」というのは、いったいいつのことなのか。秋ということなら 9 月も秋であり、もしかしたらすでに引退したあとなのではないか。

 漠然としたいくつかの不安を抱えたまま、普段と変わらず粛々と 9 月 6 日は訪れた。前日のうちに用意を済ませていた私は、15kg 近い荷物を抱えて、予定通り 7:30 に家を出た。天気は晴れ。暑くなりそうな東京の朝だった。


 次回からは、旅先で撮影した写真をはじめ、動画や音声、PDF などを紹介する。写真はサムネイルが 320 × 240 ピクセルで、クリックすると Lightbox で大きなサイズを表示する。動画と音声は HTML5 の video タグと audio タグを使用していて、お使いのブラウザにより、動画は MP4、WebM、OGG の順に再生を試みる。同様に音声は MP3、OGG の順となっている。詳しくはこちらをご覧いただきたい。

 なお、ここで紹介したものとは別に、今回の旅で記録した車窓動画や走行音を「鉄道探検隊」のコーナーで公開しているので、興味のある方はどうぞ。


── 1 日め [出発~鳥取] ──
── 2 日め [鳥取~水島] ──
── 3 日め [水島~阿波池田] ──
── 4 日め [阿波池田~帰着] ──

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